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東京国立博物館におけるインターン制度 其の五

東博のインターンシップ制度とは別に、平成20年から特定非営利活動法人文化財保存支援機構(NPO-JCP)が主催し、東博が共済する形で「文化財保存修復専門家養成実践セミナー」を実施している。その目的は、文化財の修理理念に対する意識と倫理観の向上、そして実践力について、高度な能力を持つ専門家を育成するために、基礎能力の格段の向上を目指す実践セミナーと位置つけている。会場は東博小講堂、展示室や修理室、その他の博物館、修理施設を利用している。文化財保存修復家養成実践セミナーのカリキュラムは以下の用になる。

1 調査診断法(15時間)・・・・無機分析、有機分析、無機分析

2 環境保全概論(18時間)・・・温湿度、空気汚染、光放射

3 基礎修理設計(36時間)・・・東洋絵画、油彩画、染織、考古など

4 基礎材料論(12時間)・・・・紙、布、金属、接着剤、染料、顔料

5 特講(21時間)・・・・・・・文化財保護法、国際協力など

6 見学(12時間)・・・・・・・他館の施設など

博物館施設を利用下専門家向けの実践セミナーは、インターンシップ同様に作品の取扱は行われない。しかし、文化財保存の現場で実際に活動する現役の専門家による講義を網羅的に行い、勝講義の場所を博物館の展示室や修理室を利用することに寄って、研修生に臨場感を持つことができるように配慮されている。
参考文献 文化財の保存と修理より

 

東京国立博物館におけるインターン制度 其の四

研修よカリキュラム

保存修復課が行う業務は多岐にわたり、それらを再度示すと、①作品及び環境の診断と記録②予防保存④教育及び普及⑤課の運営である。④番目はインターンの受け入れや、その他に特集陳列「東京博物館コレクションの保存と修理」の開催や本館⑰室平常陳列の【保存と修理】の実践など、教育と普及を含む項目である。

研修生の実習として具体的に提供できる業務は、①〜④の項目である。具体的には以下のような内容の項目であり、可能な限り追体験をおこなえるように配慮した。

1 作品及び環境の状態を定期的に調査し、その結果から状態の評価を行う。診断とは調査と評価  を行うことであり、それら一連の作業を調書(カルテ)に記録する。あらゆる作業の工程は写  真や記述としてカルテに残す。

2 診断結果に基づいて、温湿度の安定化のための環境改善、有害ガスの排除、統合的害虫生物管  理、輸送の安全確保対策、自身などの災害対策を立案し、実践する。

3 予防保存と修理保存の中間に位置付けられる対象修理をどのような状態に対して、いかなる方  法論で適用するかの判断の検討、本格修理を必要とする作品の状態調査、修理報告書の作成方  法など。

これらの内容を基本として、次のような時間配分とした。(下図)項目に対する時間配分は実際の業務への配分似あわせてある。平成21年度に実践した各項目の詳細は(表2)のようになる。

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「概要」は保存修理課の業務全般の紹介と臨書保存の考え方について説明する。「診断」は、他館への作品の貸与・返却の歳に行う点検作業の見学を通じて、関係者同士の対応の在り方、作品の取り扱い、点検のポイントなどを書跡、考古、工芸の分野について実践する。また、作品の状態調査に欠くことの出来ないX線透過写真の撮影方法也判読方法についても実習を行う。そして、それらの点検・調査結果を記録する保存カルテについて、その作成と記録法について解説を行う。「環境」では環境保全、予防保存、IPMについて講義、常設展示室や特別展示室の環境整備に関する実習、収蔵、展示、輸送など環境保全に対する評価方法に関する講義を行う。「修理」では展示作品を観察しながら作品の状態調査をカルテを使用して実習する。予防保存、対症修理、本格修理に関する講義と見学、そして修理報告書の作成と保管、刊行に関して説明を行う。「教育」では17室で公開している常設展示の「保存と修理」の見学とその解説に関する講義、毎年恒例の特集陳列「東京博物館コレクションの保存と修理」展の企画内容について、特に列品解説、ツアー、シンポジウムに関する講義を実施する。最後に「評価」として質疑応答などを行い、各研修清の評定を行う。

 

 

参考文献 文化財の保存と修復より

東京国立博物館におけるインターン制度 其の三

〜保存修復課の氏名と基本業務〜

平成19年度から受け入れを始めた保存修復課のインターンシップでは、先の合意に基づいて、作品の取扱を一切行わない前提で就労体験型研修カリキュラムを作成した。作品の取扱を含む専門家養成型研修は将来の課題ではあるが、その場合でもカリキュラム編成は基本的に同じになると考えている。なぜなら、いずれの場合も、カリキュラムは館内で実践される保存修復課の基本的な業務に沿った内容を基礎ッドとしているためである。日常的には取り組むが少ない内容を教科書的に行うことはインターンシップとしては適切であるとは思わない。ただし、実際に「就労体験型」と「専門家育成」の研修を」を行う場合には、それぞれのカリキュラムにかけるぞ館には大きな差が出来る事は十分に予想できる。

基本的な業務とは、保存修復課が博物館の活動を支えるために組み立て、実施している診断、予防、修理を含んだ臨床保存である

また、研修では基本業務としての臨床保存を実践するための心構えとして、各自が自覚すべき氏名を重視している。保存修復課が掲げる氏名とは、①予防保存と修理保存の日常的実践、②保存修復に関係する研究及び教育の実践、③文化財の保護に対する社会的関心を高める努力、の③点である。特に日常的実践では、環境と作品に対して同時に働き掛ける必要がある。収蔵、展示、移動、調査に置いて文化財が保全されるように、安全な取扱方法と安全な環境を確保する。閑居管理による文化財の保全は、劣化の進行を抑制し、修理への依存度を小さくする。これによりオリジナリティーの劣化が軽減されることになる。公開、活用の繰り返しによって発生する軽微な損傷を見出した時には、機会あるごとに処置を行い、取扱い上の安全を図る。応急処置は損傷の拡大を抑制する。応急処置では安全な取扱いの確保が困難なほどに損傷が進行している場合には、本格修理によって原因を除去し、状態の安全をはかる。この時の処置内容は最小限の処置におさえ、オリジナリティーへの影響を極力抑える。

こうした使命の下、保存修復課の基本業務を優先度が高い順に示すと、①空気環境の計測・評価②作品の状態調査・診断③博物課の保管・展示環境の改善④作品に対する必要な処置の迅速な実践⑤作品の科学的調査による診断⑥長期的な保存計画の戦略的な立案、となる。そして、各業務に対する従事時間は、保存修復課の業務全般の運営に5%、作品あるいは環境の調査と診断に25%、予防保存の実践に25%、修理保存の実践に35%教育及び普及活動に10%を現在配分している。

参考文献 文化財の保存と修復より

東京国立博物館におけるインターン制度 其の二

〜東京国立博物館におけるインターン制度の歴史〜

まず、学生にたいする正式な教育事業として、平成13年度から東博出始まったインターンシップという研修制度について、その概要を消化しておきます。

平成13年度から14年度にかけての時期は、当時文部科学書から要請されていた「就業体験」の機会増進に博物館が対応するため、文部科学省のイメージに沿った形でインターンシップを開始した。

文部省は就業体験をインターンシップとよんでいるため、専門家養成を目指した研修としてのインターンシップとは一線を画している。したがって、文科省的インターンシップでは学芸員など専門家の直接的な育成ではなく、就業体験の大学生版として実施することとした。対象者は大学生及び大学院生で、受入機関は5日間ほどであった。まず最初に受け入れた部署は、インターンシップ事業運営の担当部署である教育サービス室であり、2年間に13人ほどの学生を受け入れた。

平成15年度から18年度にかけては、それまでの就業体験型インターンシップから学芸員等の博物館の専門家を現場レベルで育成する専門家育成型にも目を向ける事になった。対象の学生は人文科学、社会科学、教育学等の大学生、及び大学院士・博士課程に在籍する学生で、勝博物館実習を終了している者に限定した。4年間出デザイン室あるいは出版企画室などで延べ52人を受け入れている。その内訳は、平成15年はデザイン室、出版企画室、教育普及課、広報室が10日間程度で10人、平成16年は事業部事業企画デザイン室、出版企画室などが計15日間程度で15人、平成17年度は特別室、デザイン室、出版企画室などが15〜30日の間出9人、平成18年度は特別室、デザイン室、情報管理室などが30〜45日の間で18人を受け入れた。

平成19年度から21年度は、博物館の学芸員を目指す学生に対して学習意欲を換気し、高い職業意識の体得を目的としたインターンシップを実施した。厳密に言えば、就労体験型のプログラムであることには基本的に変わりはないが、専門家育成型の研修に接近させる方向へ更に歩み出したことは間違いない。ここで問題になったことは、作品の取扱に関する共通理解である。保存修復課の専門的研修では作品を取り扱う場面、それも状態が必ずしも充分でない作品を取り扱うことになると予想できる。また、展示関係のその他の部署においても作品を取り扱うことは専門研修とした場合には避けて通ることはできにくい事柄である。しかし、作品の取扱によっては万が一にも自己が生じた場合、それに対する責任を大学側とどのように分担するのかについて明確な方針が確立できていない現状で、作品の取扱は行わない範囲での研修に留めざる得ないというのがぜんたいの結論となった。すべての部署がその点を理解し、監修プログラムには含まない事を徹底した。これによって、研修内容が明確化しかつ限定的になったため、保存修復課も学生を受け入れることにした。平成19年度の保存修復課の研修期間は2習慣(実質10日)で4名、その他の部署は10〜30日間で17名であった。平成20年は保存修復課3名、その他の部署で16名、平成21年は保存修復課2名、その他で19名であった。

参考文献 文化財の保存と修復より

東京国立博物館におけるインターン制度 其の一

〜はじめに〜

東京博物館保存修復課が学生インターンを受け入れたのは胚性19年画はじめてで、以後毎年実施している。募集は博物館教育課を通じて行い、大学院在籍者を対処に履歴書による書面審査と面接による審査によって受け入れを決定する。初年の胚性19年は4名、20年度画3名、21年度が2名。

受け入れ可能な人数は業務の繁忙さに大きく左右されるために、受け入れ時期の決定は重要な要素である。現在は年度後半に2習慣ほどの受け入れをおこなっている。

学生インターン生の受け入れは保存修復課発足当初以来の重要な検討事項であり続けたが、具体的な研修内容、期間、責任の所在など、明確にすべき事柄が多く、長らく着手に至らなかった。その間に、海外の大学から半年間から1年程度の期間に及ぶ研修生受け入れについての打診を幾度課受けたことがあるが、館内でのインターンの位置づけが曖昧なままでは十分な成果が得られないであろうと判断し、残念ながら受け入れを断った景観が幾度かある。

しかしながら、公的機関の場を利用した研修は社会から求められているだけではなく、我々の方から積極的に提供しなければならない場である事を意識しつつ、平成19年度から短期間の受け入れを決めた。

現在の学生インターン受けけ入れは、受け入れ側とインターンの双方にどのような効果をもたらしているのか、あるいは本来東博が目標とするインターンの姿とはどんなものであるのか、それを実現するためにどんな事を解釈しなければならないのかなどについて、これまでの経験に基づき検証してみたい。

参考文献 文化財の保存と修復より

文化財の守り手を育てる

文化財保護法と文化財保存修復学

実際に文化財の保存と活用に関するカリキュラムの開発を行うのは大変なことであるという事を感じられた形が多いのではないかと思います。「文化財の守り手を育てる」という視点から、文化財保存修復、文化財科学について考えてみます。

最初に、文化財保護の体系(文化財保護法第2条、92条。147条)を下図に示します。文化庁のホームページに公開されています。文化財保護法は昭和24年(1949)の法隆寺金堂焼失を契機に、翌年に公布、施行されました。文化財の定義には、有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観、伝統的建造物群、文化財の保存技術、埋蔵文化財があります。

また、重要なもの、特に価値の高いものは、指定や登録を受け、有形文化財では重要文化財、国宝に、記念物では史跡と特別史跡、名勝と特別名勝、天然記念物と特別天然記念物、のような体系になります。このような文化財保護の体系については、残念ながら学校教育の現場ではあまり定着していないのが現状かと思います。この辺りから本学会から基本的な情報を正確に発信して行く必要があるのではないかと考えています。一方、世界遺産条約は、世界遺産を保護し次世代に伝えることを目的とし、しぜんと文化は相互に補い合う関係にあり、人類と自然画切り離されずにつながっているという考えがあります。

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参考文献 文化財の保存と修復

保存修復技術と人材育成

美術・工芸の分野では、そちらかといえば伝統的な修復技術・材料が尊重され、また神社仏閣の首里では宮大工などの伝統的な技術を生かした修理が行われている。考古遺物の場合には、長年土中に埋もれていた金属遺物や木材などの勇気質の多くは、物理的化学的な劣化が起こり、伝統的な修理技術を施すには手遅れの状態にあり、現代科学の粋を集めた化学的な処理が求められた。

美術・工芸品の分野でも自然化学的手法による調査研究は、鋭意実施されてきたのだが、日本列島全域に及ぶ発掘調査を契機に文化財における自然科学的のどうニュが加速度的に進展したといえるだろう。事実、保存修復科学分野の担当者のおおくは地方公共団体の「埋蔵文化センター」に配属されており、ほとんどの期間に保存科学関連の機器が装備されている。

保存科学技術の考古学分野への一気呵成とも言える導入の動きは文化財保存技術の開発研究と同時に修復技術を習得するための更なる要望、すなわち個人的・集団的なトレーニングの必要性を生み出していった。

参考文献 文化財の保存等修復より

文化修復科学の黎明

岡倉天心

文化財の保存修復のための科学的研究はいつ頃、どのようにして始まったのであろうか。一つには、明治時代の美術評論家出会った岡倉天心(1862〜1913年)に負うところが大きいと言われている。彼は、美術教育、古美術の保護、創作美術の保護活動に数多く業績を残している。明治10年代におこなわれた古社寺調査に従事し、明治29年(1896)には古社寺保存委員会委員となり、日本全国における古美術品の調査を行なっている。他方、帝国博物館の設立に尽力しており、明治22年(1889)には同館の理事に、後に美術部長を務めている。明治37年(1904)からは米国のボストン美術館に勤務し、東洋部長も務めた。1887年には、新設された東京美術学校(のちに東京芸術大学)の幹事、そして校長を歴任している。

大正2年(1913)8月の古社寺保存委員会の席では、「法隆寺金堂壁画保存計画に関する建築家」を提出し、日本美術品保存の、とりわけ法隆寺金堂壁画の科学的な調査研究の必要性を訴えている。これを受けて法隆寺壁画保存方法調査委員会画設立され、昭和9年(1934)から始まる昭和の大修理につなげている。

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修理に際しては、壁画をとり外す前に第一線の日本画家達による壁画の模写が行われた。しかし、壁画顔料の剥落がひどく、応急的な処理を必要とした。伝統的な美術品修復材料としての(にかわ)や糊(のり)、アクリル樹脂などによる修理が試みられている。この大修理を通して文化財の保存技術が飛躍的に向上したことは言うまでもない。そして、自然科学分野の研究者をも引きこんだ大事業が我が国における保存科学誕生の契機となったことは確かである。

 

参考文献 文化財の保存と修復より

人材養成にはたす博物館の役割 其の六

文化財を活用する博物館のもう一つの役割は、文化財の修理です。今から30年前の昭和55年(19980)に、京都国立博物館二修理施設が設置され、奈良国立博物館には平成20年(2008)に、九博でも開館と同時に設置されました。東京国立博物館でもそれ相応の施設が宋座しています。

文化財の修理施設画が設置されている背景には、修理する人たちが安心、安全に修理出来る場所、あるいは文化財にとっても安心、安全を保ちながらしっかり修理される場所は、博物館であるということであります。現在、これらの修理施設に伝統的な修理技法や手法を持つ工房が入って活動されています。

そこで、安全性が確保され、また、各工房同士が集うことで切磋琢磨しています。もちろん、その中で素材や材料の共同開発も行われています。難しい修理になると共同研究も行います。そして、今、修理に係るそれぞれの団体では研修を行い、資格制度にも関心を向けながら新鮮な修理世界の展開に挑んでいるわけです。

そして、九博では、そうした修理の生々しい実態を、市民の地域が理解し、文化財修理の大切さとその意義の理解画広がっていく事を嫌いしています。また、市民が修理を知り、修理に大きな関心を寄せることによって、次の新しい担い手がドンドン生まれてくる可能性に期待して、修理施設を運営しています。具体的には、九博では国宝修理装潢師連盟の九州支部の方々が修理しています。この修理の世界は、かつて閉ざされた秘密の世界でした。そのタブーカラの脱却として、廊下に窓を設け、外から子供立ちを始め市民も見ることができるようにしました。(下図)

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この効果の意義を私どもは大事にして行きたいと思っています。

また、教育普及の一環でもありますが、子供立ちに保存に関心を持ってもらうために「なりきり学芸員」と読んでいますが、保存修幅を体験できるような機会も設けています。そいて、修理だけでなく、修理した結果もこれからはしっかり公開していくことで、修理、保存のあり方を一般の人々に広くご理解頂くようにしていきます。このことはすでに東京国立博物館も積極的にやられています。こうした積み重ねが、文化財の保存に向けた人材養成への道を大きく拓くことだと信じています。

学会の活動にはあまり触れられていませんでしたが、学会ではポスターセッションなどの機会を通じて文化財の保存に関心のある市民たちに積極的に公開しています。実際に学会のポスターセッションを見に来る関心を持った市民が大勢います。それから、学会活動として難しい、高度な話ではなくて、市民に向けて情報を発信していく努力を通じて、私ども文化財保存修復学会と姉妹関係にある日本文化財科学会も文化財の守り手を育てることに学会全体としても挑んでいるという事を是非ご理解いただきたいと思います。

参考文献 文化財の保存と修復より

絵の具とラーメンとうなぎ

ラーメンのスープは「呼び戻しスープ」などの技法が有り、毎日継ぎ足し継ぎ足しで店の味を守っていく。
うなぎも秘伝のタレを守り続ける。

さて、洋画、日本画についてはいかがでしょうか?
伝統の「秘伝の色」は存在するのでしょうか?

ラーメンのスープ、秘伝のタレなどは、毎日「火入れ」と言って殺菌、カビなどが生えないように、毎日欠かさず熱を入れます。店によっては、衛生面を考えて毎日鍋を換えるところもあるようです。
我々の世界では、新糊になる生麩を入れてある瓶に張ってある水を毎日入れ替えます。
この時に、かき混ぜたほうが良いという方と、混ぜずにそのままのほうが良いという方と意見が別れるところでもあります。
いずれにしましても、その土地の環境や風土によって最良の方法を目指して工夫した結果です。
ここで「色」に話を戻します。
小学生の頃、水彩絵の具で写生をしました。その時、パレットに絵の具を出すわけですが、
その時に使う色だけをパレット出す人、その絵に使いそうな色を全部パレットにだしてから絵を書き始める人。
様々な書き方があります。もちろんどの方法が正しいとか悪いとかといっているわけではありません。肌色の絵の具もありますが、あえて白と茶色を混ぜて肌色を出す人など、人それぞれ様々な
書き方をしていました。また、先生によっても、指導方法に違いが見られました。
そして写生の時間が終わり筆を丁寧に水洗をします。
問題はその後です。
パレットを毎回洗う人、洗わない人にわかれます。もちろんめんどくさくて洗わない人もいるでしょうが、学年でずば抜けて上手い人が一人二人いて、その子たちは私の知る限り洗ったことはないようでした。
もちろん当時は何も考えず見ていたのですが、今になって記憶を辿りますと確かに思い出せます。
朝日を浴びた花びらの色、夕立後の花びらの色、早朝の空の青色、真昼の空の青色などすべて違います。
きっとその人にしか出せない色が存在すると思います。