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文化財の守り手を育てる

文化財保護法と文化財保存修復学

実際に文化財の保存と活用に関するカリキュラムの開発を行うのは大変なことであるという事を感じられた形が多いのではないかと思います。「文化財の守り手を育てる」という視点から、文化財保存修復、文化財科学について考えてみます。

最初に、文化財保護の体系(文化財保護法第2条、92条。147条)を下図に示します。文化庁のホームページに公開されています。文化財保護法は昭和24年(1949)の法隆寺金堂焼失を契機に、翌年に公布、施行されました。文化財の定義には、有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観、伝統的建造物群、文化財の保存技術、埋蔵文化財があります。

また、重要なもの、特に価値の高いものは、指定や登録を受け、有形文化財では重要文化財、国宝に、記念物では史跡と特別史跡、名勝と特別名勝、天然記念物と特別天然記念物、のような体系になります。このような文化財保護の体系については、残念ながら学校教育の現場ではあまり定着していないのが現状かと思います。この辺りから本学会から基本的な情報を正確に発信して行く必要があるのではないかと考えています。一方、世界遺産条約は、世界遺産を保護し次世代に伝えることを目的とし、しぜんと文化は相互に補い合う関係にあり、人類と自然画切り離されずにつながっているという考えがあります。

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参考文献 文化財の保存と修復

閑話

最近、生活の中で、インターネットの占める割合が多くなり、趣味のみならず仕事にも多大な影響を感じるようになって来ました。

その一つに、ここ2,3年で人と会っている時間を大雑把に振り返ってみると、ネットで知り合った人たちとの交流のほうが、以前からの人たちより多くの時間をさくようになりました。

ネットの中であれば、一日1000人以上の人と交流が可能です。しかし、リアルにお会いすると一日で数人から精々、十数人が限界です。当然、今までと考え方も、服装も、年代も、すべてが全く違う方々とつながることができるのです。その辺が最初は楽しかったのですが、だんだん、人間関係に「ノイズ」を感じるようになりました。

よく言えば、新しい刺激なのですが、自分にとって価値の無い情報のほうが多くあります。情報収集していると、いつの間にか、情報を使いこなすことが目的なのに、情報を確認するのが目的なのか、わからなくなるようになりました。

ここで自分のとって必要な情報とそうでない情報をふるいに掛けるフィルターが必要になってきます。そこでグーグルリーダーであり、信頼出来る友人の情報であったりします。

そこで気付いたのが、逆説的なお話になるのですが、ネットをすることでリアルに人に会うということが、いかに大切なのかというを身にしみて理解できたのです。

なぜなら、実はその数人の中から、仕事につながったり、大切な友人に出会うことが出来たからです。人づての紹介ではまず、一生会うことのできなかったであろう方や、音信不通の何十年も連絡の途絶えた同級生など、ネットのお陰で会うことが出来ました。

ネットは素晴らしいツールですが、諸刃の剣でもあるなぁ。と感じる今日このごろです。

 

 

絵画の保存修理における基本方針 「修理によって失われるもの」

では、何かが変わった、あるいは失われたという感覚を皆さんもおそらく共有されるでしょう。

修理の前後で、折れの消失によって何が失われたのでしょうか。それは浅い空間の印象がひとつです。古びた様子から受ける長い時間の表現です。そして、料紙の表面の暖かさでした。

それらはいずれも画像が創りしたのではなく、伝世のうちに付け加えられたものです。文化財の修理に当たってはその真性性を守ることが要求されることは前にもう申し上げましたが、ではこうした古びた趣は真正性の一部をなしているでしょうか。こらえは否です。

例えば浅い空間を感じさせる折れは、料紙が摩擦によってどんどんすり減っている箇所ですから、致命的損傷です。修理によってなくさねばなりません。それが文化財の保存を危うくするものであれば、取り除かねばなりません。

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❏ なんでも鑑定団 ❏

なんでも鑑定団を見ていてふと、思うことがありました。

骨董品の売買出来高となんでも鑑定団の視聴率は比例するのか?

私は当然比例するものと思っていたのですが、どうやらそうではなく、全く別物と考えほうがよさそうです。つまり美術品の関心度と「なんでも鑑定団」を見ることとは全く違う感情が見て取れる。そんな数値が出ました。

美術品統計     sityouritu

なぜなら、過去10年間、なんでも鑑定団は高平均視率を維持しています。
なぜ、十年以上に渡り、視聴率を保ち続けてているのか?
美術品に対する興味ではなく、人間が持っている元々の感情の部分で、他人の悲劇ほど楽しいものはないという、残酷な部分。

もしかしたら、、、
自分の家にもお宝と同じ物があるのではないかという欲望や願望からきているようだ。

「洗練された紙漉き」其の二

紙床つくり

漉きあげた湿紙は、水分をできるだけ除いた後に、上桁をあげ、簀を持ち上げて、紙床板(漉付板、漉詰板、積み板)の上に一枚づつ積み重ねて紙床を作る。
湿紙を紙床に移す時、床離れしやすくするため、手元の端を少し折り返しておく場合が多い。これを「耳折り」(ひびり、よせ)というが、いぐさや稲わらなどをはさむところもある。
昔は湿紙の水切りのため、漉槽側面に「桁持たせ」を設け、簀を湿紙ごと傾けて立てかけておき、次の一枚を漉いてから紙床に移した。
また「紙漉大概」によると、紙床に移した湿紙の簀…簀上に細かい円筒形の棒(ころばかし木)を圧しながら回転させて水切りした。
これは気泡を消すためで、今は気泡ができないように注意しながら湿紙を重ねる。
ところで、溜め漉きの場合は、湿紙を紙床に移す時、西欧風に一枚ごと毛布にはさむ。粘剤を用いていないので、質紙が互いに剥がれにくくなるのを防ぐためである。

湿紙の脱水

紙床に積み重ねた湿紙は多量の水分を含んでいるので、一夜ほど放置して自然に水分を流出させ、その上に麻布・押掛板などを置いて、圧搾機に描ける。
古くから用いられた圧搾機は支柱の穴に圧搾機の一端を差し込んで紙床にのせ、他端に重石をかけるが、急激な加圧を避けるため、この石は軽いものからだんだん重いものに変えていく。石圧法といって、紙床の押掛板の上に重石を乗せるだけのこともある。
近年は油圧・水圧による螺旋式の圧搾機を用いることが増えている。
また、豪雪地帯では、新潟県の小国紙のように湿紙の塊である紙塊を雪中に埋めて、積雪の重さで圧搾する雪圧法もある

乾燥の方法

圧搾しても湿紙にはなお60~80%の水分が含まれているので、さらに太陽熱または火力で乾燥する。
日本で昔から普及していたのは板干しで、紙床から剥いだ紙葉を干し板に刷毛で貼り付け、野外に並べて天日で乾燥する方法である。
本来は簾に接した面があるので、この面が干し板に接するように貼る。
欲しい他の表裏両面に貼り付け終わると、干し場に運んで板架台に立てかけておく。普通冬季は半日ほど、夏季なら約1時間で干しあがる。
天日干しは燃料なしで経済的に十分脱水でき、日光で漂白されて光沢のある紙が得られるが、量産には適さないし、雨天には作業できない。
そんな欠点があっても、良紙を作るためにこの天日干しに、こだわっている紙郷が多く、「ピッカリ千両」という言葉が残っているところもある。
火力乾燥法は季節・天候に関係なく、昼夜の別もなく、紙かも量産に適するもので、鉄板製の面に湿紙を張り、湯または蒸気で鉄板を熱して乾燥する。
これは近代に考案されたもので、固定式と回転式ガある。
固定式は、断面が三角形や長方形の細長い縦型のものと、横に平らな鉄板をおいたモノとがある。
回転式は、断面が正三角形の角筒である。
火力乾燥によると、紙面は板干しより平滑になり、緊密にしまって腰が強く、均質なものが得られるが、完全に脱水されないので日時の経過につれて重量を増やしたり、和紙独特の味わいが失われる欠点がある。
古来の板干しは日本独特の方法とも言えるもので、中国や朝鮮では熟した壁面「中国で焙碧(ホウヘキ)という」を用い、西洋では室内の縄とか竹にかけて乾かしている。

 

「蛹(サナギ)は蝶になる」

今回は仕事に直接関係ないのですが、ご紹介したいと思います。

 

 

幼虫から蛹になるとき、大きな変化がおきる。

夏休みのある日、男の子が、ラジオ体操の時間よりかなり早く神社に着いた。

男の子は、蛹から蝶になろうとしている瞬間に遭遇した。

殻をなかなか破れない。見かねた男の子は殻を破ってあげた。。。

殻から出てきた蛹は羽を広げることが出来ないでいる。

羽を広げられない「不恰好な蛹」はのそのそと草陰の中に消えていった。

蛹に戻れず、蝶にもなれないまま。

実は、蛹は、殻を破ろうともがいて、もがいて、もがくことで体の養分を羽のほうに
まわすことが出来る。その結果として、殻を破り、羽を精一杯広げることが出来るのだ。

大事なのは結果ではなく、過程だ。

■色彩感覚■

現在50代で割とどんな色でも抵抗なく受け入れられるしいろんなチャレンジもしている。
しかし、20代のころは、実は茶系が好きでついつい仕入れる材料も茶系が多かったような気がする。
30代は逆に青系をお多く使ったような気がする。
あくまでも感覚と記憶なので確かなデーターがあるわけではないが。

色から受ける印象は生活環境によってどんどん変わっていくのだと思う。
なぜなら、夏にクーラーのよく効いた部屋で見る絵画とそうでない部屋で見る絵画はやはり違うと思う。
目から入ってくる情報の順番は、色、大きさ、形の順番だと言う。
毎日、新聞に挟まれてくる広告を見ても確認できる。
本当によく考えられていると感じる事がある。
色の対比のさせ方で、お互いを引き出している。
伝えたいところは大きくセンターに。は基本中の基本だ。

そして、次に来るのが【音】そして【光(照明)】の影響力もかなりあると思う。風鈴の音を聞きながら琥珀色の酒を傾ける。口元に近づけると泡のはじける音がする。。

作品の選定作業とは・・・

 

 

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上が最終的に選ばれた作品です

 

 

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この作品は読みやすく漢字的な手法を使ったのですが、堅い感じがしてしまいかな文字らしさが伝わらなくなってしまった。

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この作品は、3ヶ月間県内を巡回する事を考慮し春らしいピンクではなく、黄色の入った紙を使ってみたが、額のマットとの相性が今ひとつマッチせず見送りとなる

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この作品は、淡いピンクのばかしの入った紙を使ったので柔らかさは出たが、印章が大きすぎるのではないかと思い候補から外れる

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この作品は、印章を小さくし、文字の使い方もかならしく繊細で春らしいイメージに仕上がったが・・・黄色がマットとそぐわない処が気になる。。。

 

悩みに悩んだ末・・・下記の作品に決まりました。
たった一つの作品を生み出すのには相当の苦労があるのです。ここに紹介できなかった何十枚の作品がこの一つの作品の裏側にあります。
今回は新潟女流展に出展されたMさんの作品をお借りして紹介いたしました

 

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【装潢手、経師師、表具師の違い】

地域のよる、呼び名の違いと思っていましたが調べてみるとなかなかおもしろいもので、私自身楽しく知識を深めることができました。どうぞ、お時間のあるときにご覧ください。

 

京表具の歴史は,長らく京都が日本の都であったことから,即ち,日本における表具の歴史といえます。

表具の歴史をさらに遡りますと,その発祥は中国。蔡倫(さいりん)による製紙法(105)の改良により,紙が普及する3~6世紀頃,「書画を挂(か)け拝する」という意味の『挂軸』という言葉が出現します。

中国における表具は,竪巻の挂軸として王家の書画を表装することに始まり,隋・唐時代には仏教の隆盛に伴い,仏典・経典の漢訳や書字が国家の事業として行われると,横巻の経巻が出現します。

いずれにせよ,書画の保護と装飾を目的とすることに相違なく,書画を裏打ちし,表装し,軸と八双竹をつけ,軽くて移動や保存に便利な軸装の技法です。

そんな表具の技法が。仏教の伝来とともに日本へ伝わったのは,六世紀の初頭。その証左として,例えば,大宝律令(701)には「図書寮を設け、図書、経籍をはじめ、校写・装溝(そうこう)・筆墨のことを掌(つかさど)らしむ」とあります。装とは料紙の裁断や継ぐことを意味し,潢とは料紙を染める(防虫のために黄檗な樹皮の汁で紙を染める方法で唐において始まった)ことを意味します。

聖武天皇(724―749)在位の頃には,朝廷に写経司(のちの写経所)が設けられ,経師(写経生)・校生(校正)・装潢手・題師・瑩生などの職が置かれました。

なかでも装潢手は,料紙を調えるだけでなく,界線を引き,軸・表紙・紐を装し経典に仕立てる役職で,表具師の前身といえます。経師と装潢手は経巻製作の中心的な役割を担い,他職にくらべて最高の給付を受けていましたが,平安時代に入ると,学問本位の南都仏教に代わり,加持祈祷や修行本位の天台・真言の密教が台頭します。そのために国家事業としての写経は衰退し,写経所は廃止されました。

そうして官職を失った写経所の職人は,民間へと技を発揮する道を求めていきます。

参考文献 京文化通信より

【各団体の紹介と役割の違い】

それぞれの団体の概要を抜き出してみたのですが、表現や目的の違いにも目を向けると興味深いものがあるようです。

【国宝修理装潢師連盟】http://www.kokuhoshuri.or.jp/01_about/index.html

国宝・重要文化財を中心とした文化財(美術工芸品)の保存修理を専門的に行っている修理技術者集団です。主に日本・アジア地域で製作された「絵画」「書跡・典籍」「古文書」「歴史資料」などを修理対象としております。

国の選定保存技術「装潢修理技術」の保存団体として技術の発展及び向上を図り、文化財修理及び関連する諸事業を通じた社会貢献を行っています。

【全国表具経師内装組合連合会】http://tokyo-hyougu.jp/zenpyoren.html

当協会は、表具・経師・内装インテリアという3つの大きな業種部門から成り立って居り、それぞれに卓越した技能を保持または伝承する会員で構成され、現代に輝かしい実績を維持しております。

しかしながら長い伝統を持ち、日本人の生活の中に生き続けてきた「表具」「経師」も現代社会の多様化する形態に応じて新しい方向性を期待されていることも事実です。

これまで培い養われてきた日本の伝統技術・技能を正しく保存・継承しつつも、そのうえに社会やユーザーのニーズに合わせ創意工夫を重ねて新しい技術の展開を図る事、それが技能集団である我々協会に課せられた課題であります。

会員の専門技術、知識の向上ならびに社会的経済的地位の向上を図ると共に、日本固有の伝統技術の保存と継承を積極的に行い、この分野の技能に対する社会的評価を高め、もって表具経師内装業界(表装・襖・内装・額・屏風・衝立などを手掛ける事業)の健全な発展と文化・公益に寄与することを目的としています。

【文化財保存修復学会】http://jsccp.or.jp/

文化財保存修復学会は、文化財の保存に関わる科学・技術の発展と普及を図ることを目的とした学会です。文化財保存にさまざまな立場から携わる専門家が集まり、研究、教育、一般向けの文化財に関わる知識の普及など活発な活動が行われています。

【文化財保存支援機構】(JCP)  Japan Conservation Project

私たち文化財保存支援機構は、「文化財」の保存活動を通して「人間にとって大切なもの」「失ってはならない大事なもの」を、未来に伝えていきたいと考えています。「文化財」とは、人間が地上に生を受けてから連綿と紡ぎ出し、営々と積み上げてきた歴史と文化の証しであり、生活の英知と美意識の結晶に他なりません。国が変わり、言葉が変わり、民族が異なっても、その価値が変わることはないでしょう。私たちは、これら人類共通の遺産を護り、育み、次世代に伝えていくために組織されたNPO法人です。

ちなみに私が参加している団体は、このJCPです。