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【古糊製作方法】

「古糊製作方法」
以下のような記事がありましたので、記載しておきます。

古糊(寒糊)の製作方法
平成2年1月10日調査
同年2月5・8日再調査

M商店(糊・接着剤等の販売業)取締役社長M氏は、昭和8年より今日までの57年の内2年の兵役での休業を除き、55年間を糊の製造販売をしており、この内の30年間を糊煮に従事していたので、糊の材料と寒糊の製作方法の問い合わせた結果を報告する。

正麩の説明
ポリ容器に水で小麦粉澱粉を溶き置く。しばらく、これらの境界はハッキリとしないが、上から水・抜正麩・岩正麩・吟正麩となる。糊煮を行う正麩は、発酵したもの をメッシュを通して塵を取ったものを使用する。この発酵は、水を溶き置いたものが下方よりプップッと泡立ち始め発酵し出し、上部の水が濁りだした状態が続 く、発酵が落ち着くと上水が澄んでくる状態になる。発酵時間は、冬場は1ヶ月位掛かり、夏場は5日くらいで出来上がる。M商店では、自然状態で発酵をさせ ている。新糊と古糊には、この発酵した状態の3層目と4層目の岩正麩と吟正麩のみを使用するが、古糊はこの煮たものを瓶に入れ保存する。関西での単一の正 麩を取り出す方法は段差を利用したもので、最上部で液状化させたものを攪拌しながら、角度のかなりゆるい平面のトヨの上を流す。このトヨの上を流れていくうちに、比重が重い沈・沈込・下糊の順にトヨの平面部分の上に順に付着していき、これらを取り出して単一のものを採取する。

これらの方法を流しと呼ばれている。これらの作業方法は、戦前に木製のトヨを使い岩手県や岐阜県で行われていたが、大変に手間隙がかかるために行われなく なってしまった。関東では、大桶(口径・深さともに3尺位)かダム(コンクリートで固めたもの)等で第1図のようにして採取する。これらの中の吟正麩・沈 は、熱に弱く糊化しやすい。これらの抽出した正麩のphは、4前後(3~5)の酸性である。また当係りで使用している乾吟正麩は、水に漬けて置いたものよ り発酵する前に岩・吟正麩を抽出し、晒粉で漂白して乾燥させた製品である。この製品は、発酵していない製品のために発酵させてから糊煮を行ったほうがよ い。他の製品においては、小麦粉澱粉にトウモロコシ・ジャガイモ・タピオカ等の安価の澱粉を混合して製品化している。これらの地下澱粉はゲル化するが、地 上澱粉はしない。姫糊は、小麦粉澱粉とタピオカ澱粉を混ぜ合わせて作った糊である。生姫は、米澱粉(古米・古古米等使用)で作られており、漆の増量剤や友 禅染めに使用されている。バンジャク糊は、小麦の蛋白質で作られており、金の箔押し等にも使用されている。

参考文献 松本久夫商店社長 全国糊工業連合会会長 松本久夫氏「寒糊の製作方法」

平成2年10日調査 同年2月5,8日再調査

接着するとは・・・

「接着するということ。。とは」
糊のことについて書く前にひとつ大事なことを忘れていました。

そもそも接着するということを、いまだ誰も、証明したひとがいません!

たとえば、紙と木は糊を間に入れ、乾燥させると・・・付きます。

ガラス窓に、ぬれたハンカチをベタ!と貼ります。。。付きます。

乾燥した後、ハンカチを剥がすとき割と簡単にはがれます。

木と紙はどうでしょう?かなりの力で付いています。

前者と後者の違いはどこでしょう???

たとえば、糊を水で薄めたものならば、乾燥後でも簡単にはがせます。

これをどんどん糊の濃度を水に近づけていくと・・・

もし、糊でつけたものが接着で水でつけたものがそうでないならば、どこからどこまでが接着なのか???

接着剤で物と物が付くということは幼稚園児でも知っています。

現在、瞬間接着剤からマイナスの気温下でも、水の中でも接着できる時代ですが、それを証明した人はいまだいません!

よく、接着とは、接着力の強さを問題にしますが、表具における接着とは、将来剥がすことを前提にかんがえられています。

つまり、入り口ではなく出口から出発しています。