装潢技術の変遷 其の2

装潢技術は本来、伝統技術によって支えられています。

しかし、修理の定義や中身が少しづつ変化してきた結果、新しい材料や技術が導入され、それ自体も伝統的な技術になりつつあります。例えば、絹に描かれた絵画の欠損部分を補填する場合、かつては無用となった古い絹絵の中からオリジナルの絹に近いものを見つけ出し、切り取って補填材として来ました。しかし、よく似た古い絹地を安定的かつ大量に確保することは困難であるため、大画面を修理するには不都合が生じることが少なくありませんでした。

そこで、新しい絹を作り、人口老化をさせて使用する方法が昭和30年代後半から研究され始めました。その後、約10年ほどで現在の劣化絹が完成したのです。

この技術は東京国立文化財研究所の指導と高崎原子力研究所の協力で共同開発されたものです。

電子線のよる劣化絹は、まずオリジナルと同じ組織の絹を織り、電子線を照射して人工的に繊維を劣化(エージング)させたものです。現在ではすべての修理に使用されており、この考え方や技法も確率されています。以前は、欠損箇所が何とか塞がればよしとしていましたが、劣化絹の登場で、欠損箇所を補填するとオリジナルに同化して一体化し、あたかも、もとの1枚の本紙ようになります。このようにして、現在では補填材としての絹を充分に入手できるよになっています。

※ただし、まだまだ市販はされていないため一般には普及はしていないというところが現状です

 

電子線劣化絹の開発

絵絹への電子線照射作業

また、特殊な例として、文化庁・東京国立文化財研究所(現 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究 所)・国宝修理装潢師連盟の三者と、日本原子力研究所高崎研究所(現 独立行政法人日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所)の共同による「電子線劣化 絹」の開発(昭和47年〜)が挙げられます。

この方法はその後も改良が重ねられ,劣化に供する絹そのものの様々な織り方の工夫になどにより,現在では130種類に及ぶ織見本が完成し,さまざまな絹本文化財の補修に適応できるまでになっています。

参考文献 文化財の保存と修復    国宝装潢師連盟HPより

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