伝統的修復技術を取り巻く環境 其の2

【伝統的修復技術保持者の現状】

まず、修復や表装を行う場合、其の材料の供給はどうなっているのかを紹介します。

一般には耳慣れない言葉ですが、「文化財保護法」の中に選定保存技術という制度があります。選定保存技術とは、文化財の保護のために不可欠な伝統的技術または技能で保存の処置を講ずる必要がるものを指します。1975年に「文化財保護法」が改正された年にできた新しい制度です。

人間を文化財に指定あるいは認定する場合、無形文化財(いわゆる人間国宝)があります。

それはその人が保持している技術そのものが歴史的、芸術的な価値の高い方のことです。

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それに対して、選定保存技術保持者とは、歴史上、芸術上の価値の如何にかかわらず、文化財の保存に不可欠な技術技能を正しく会得、精通している人たちのことを指します。

現在、選定保存技術保持者は42件、保持者数は46人で、同じ技術で複数の方が認定されている場合もあります。保存団体として、16件、16団体が指定されています。この中には伝統的な建造物の修理に関わる技術お多くあります。この中には表具用の手漉き和紙の製作者、表具用の古代裂の製作者や、美術工芸品を収める桐箱の製作者などが選定されています。

ここで問題になるのは、これらの伝統的修復技術をなぜ、認定するのかということです。

処置を講じなければ失われていくから認定されるわけです。

逆に言えば、伝統的修復技術というものが非常に危機的な状況にあるとも言えます。美術工芸品の修復を支えるのに不可欠な技術を持った保存技術者はそうたくさんいるわけではありません。

参考文献 文化財の保存と修復  文化財保存修復学会/編

 

 

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