「文化財としての絵画の保存修理における基本方針」とは

例えば、穴の空いた絵画があるとします。

これを文化財としての絵画を捉えると、その修理にあたって、穴が空いている設計図の内部が失われていても、創造出来得た線や色を加えたり、あるいは汚れて見苦しい部分を取り去ったりせず、できるだけオリジナルを変えてしまわないように注意することが大切だと言えます。設計図を修理によって変更してしまってはならないからです。

文化財の修理とは、日常生活における類の、新品同様に綺麗にする修理とは異なります。

つまり、文化財の修理は、設計図としての価値を持つオリジナル部分の現状の維持を基本方針としています。

この文化財修理における現状維持の方針ですが、これは修理前の姿を修理によって変えないようにという事ではありません。修理前には、過去の修理で施された様々な処置が、オリジナルの本来の姿を覆い隠していることが多く、あります。現状維持とは、文化財のオリジナル部分の本来の姿を見出し、その本来の姿を変えないという事を意味します。

本来あるべき姿を変えないと言うことは、言い換えれば、真正性を守るということを目的としています。

手を加えてしまっていないこと、自然であること、わざとらしく装っていなこと、贋作でなく手が入ってないことなどと言った意味の言葉です。

来週はもう少し詳しくご紹介したいと思います。

参考文献 文化財の保存と修復より

 

 

 

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