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伝統技術の継承と人材養成 其の一

セッションⅢー2より

国宝修理装潢試練名理事長 岡 岩太郎 氏講演より抜粋(平成22年現在)

「装潢」という言葉は、すでに八世紀に「正倉院文書」や「天平経」の奥書などの文献資料に現れ、装潢は表装と同義語として使われています。「装」は「よそおう」「潢」は「染める」意味で、古代においては、経巻や屏風を作成する過程で、紙を染め、形をを作る職人を「装潢手」「装潢師」と呼んでいたことがわかっています。現在の仕事は、装潢技術を使って文化財を修理することです。文化財と行ってもその対象は広範囲に渡りますが、そのなかの有形文化財、さらにその中の美術工芸品に含まれる絵画や書跡、歴史資料が仕事の対象です。

材質で言うと、紙や絹、板、土壁を素地とし、其の上に描かれた・書かれたものです。

文化財修理に用いる装潢技術の内容は、大きく2つに分けられます。仕立てる技術と本紙を修理する技術です。作家のてから離れた本紙は、それのみでは飾ることもほぞんすることも出来ません。そこで、掛軸や巻子、屏風、襖、冊子など長い年月の中で多彩な形式が生まれ、形作るという技術、そして傷んだ本紙を修理するという技術が、伝統技術として継承されて来ました。