人材養成にはたす博物館の役割 其の一

今週は、九州国立博物館館長の基調講演より抜粋して、ご紹介いたします。

博物館と学会が文化財の保存・修復にどのような役割を果たしているのか、どんな人材を養成しようとしているのかといった事をご紹介させて頂きます。

博物館は文化財を展示したり、活用したりあるいは文化財を収蔵。保管するするなどの様々な役割を持っていますが、博物館が文化財の保護に関して重要な役割を果たしていることを、あまり深く考えておられないと思います。博物館こそ活用の最前線であり、同時に保存の最前線であるという考え方や実態をご紹介したいと思います。

文化財の守り手はいろいろ考えられます。普通は、修理技術者出会ったり保存科学者、文化財の貯蔵者、近年ではいくつかのNPO法人が部分的にせよそれぞれのテーマで文化財の保存に重要な役割を果たしています。そして、一番強調したいことは、市民の存在です。市民のパワーにはいつもびっくりさせられます。九州国立博物館は(以下、九博と略す)背景に政治的、行政的な力がありましたが、本質は市民のパワーによって開設された経緯を持っています。そのようなことを勘案しますと、文化財を市民とともに保存、活用していくことが非常に重要です。これからは市民の力をもっと大事にして行かなければならないと思っています。

もう一つは、比較的忘れがちですが、コーディネーターの存在です。保存の現場と文化財を活用する間に入って調整するのがコーディネーターです。このコーディネーターは日本ではなかなか育ちませんでしたが、文化財を守って行く時重要な役割を果たします。このような様々な人達によって文化財の守り手が形成されています。

参考文献 文化財の保存と修復より

 

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