〜九州国立博物館館長基調講演より〜
博物館ですので、保存するための施設として収蔵庫を持っています。しかし、これからは文化財を忠たんに収蔵するだけでなく、安心・安全に保存していく事のできるよい環境を整えていくことが、博物館のもう一つの大きな責務となってい来ます。
博物館は、私の実体験から申しますと、展覧会などの公開に3割のちからをさき、保存についても同じように3割り程度のちからを割いて来ました。多くの市民の方には展覧会だけが目につきますので、展覧会に9割ほどのちからをかけているとお考えかも知れませんが、そうではありません。その他、調査・研究や管理の部分にも3割ほどのちからをしています。そのようなバランスんなかに博物館は存在しているのです。
そして、保存ための施設という事で細かく見ていくと、いろいろな問題点があります。例えば、虫がいない、カビが発生しない、文化財に取って居心地の良い施設を作り、それを保っていくことが博物館の大きな役割です。問題は、そのような事をする人たちをどう育てていくかです。この部分に、行政はこれまでほとんど目を向けてきませんでした。守る人たちを作り、育てることが日本では遅れています。活用するための人を育てたり、展覧会をやる人、いわゆる学芸員を育てることに遭遇してきたきらいがあります。そのことも重要ですが、これからはバランスよく、守る人立ちを育てていくことも重要なテーマとなっています。
ここで、収蔵庫の様相を簡単にご紹介します。非常に些細な事かもしれませんが、収蔵庫の壁の板張りには、白太材を用いています。このようなことで文化財を守る環境を作っています。麻tあ、収蔵庫内の棚の作り方など、細やかな工夫がいろいろあります。それらは、総括的に保存という寒天で考えれて行かなければならないテーマです。
参考文献 文化財保存と修復より