今回は人間でいうところのレントゲンのようなものです。
肌裏打ちを剥がし終えたら、また詳しく調査します。
下方から光を当て、作品の状態を詳しく調査します。
以前の修理で欠損部分を穴埋めされたと思われる繕いの紙、すでに擦り切れてしまった部分。
そのまま残っているシワなど、様々な情報が光を当てることで詳しく確認できます。 これらを詳しく調査した後、「折れ伏せ」「補修紙」などを入れていきます。
補修紙で穴を埋めた後、画面を安定させるために肌裏を打ちます。余談になりますが、肌裏の紙を貼ることを「打つ」と言います。金箔などは「箔押し」と呼ばれています。
また、本紙の条件(紙ではなく絹本など)によっては、表打ちをした後、肌裏を打ち、画面を安定させてから、「補絹」という作業をします。国宝修理をされている工房などでは、古くなった絹糸と強度を合わせるために、「劣化絹」という物を使用します。残念ながらこの劣化絹は一般の表具屋にはてにはいらないようです。
次回は、肌裏の後の「折れ伏せ」に入ります。古い掛け軸を作る上で一番重要な部分なります。