手漉き和紙は、文字通り人の手で漉かれるので手漉き和紙といいます。
最近は、道具の改良でかなり均一な紙が漉けるようになりましたが、それでもその人
の癖、体調、気候、材料などが機械で作られるパルプなど比べるとその時々で違った
紙が出来ます。
昔の人はそれと上手に付き合い、むしろ利用してきました。
例えば、紙の上下左右の厚みが違えば、そのときに必要な分だけ取り、左右たがえ
違いに置き、上下の厚みが違えば厚いものと薄いものが重なるように順番に使うなど
の工夫をして来ました。その工程と作業を支えているのが最初の作業として、
紙を厚いものから薄いものへと並び替えるという作業、これが出来たからです。
そういったひと手間を加えることで、誤差を埋めることが出来たのです。
では、「100枚の紙を手で触っただけで薄いものから厚いものへ十番に並び替える方法をご説明いたします。
まず、目の前の100枚の紙を3種類の「厚さ」に分けます。(人間の手の感覚だけ
でも十分出来ます)
その3種類とは、自分の手の感覚で厚いもの、薄いと感じるもの、そしてその中間の
もの以上の3種類です。一番最初の紙を基準とします。これを中間とします。
そして、2枚目、3枚目と手の感触で分けていきます。もし、最初に中間と決めた紙
が3種類の中で一番薄いグループならば、そのときの分類上は、中間のもの、
やや厚いもの、厚いものに分けることが出来ます。あるいは、最初の中間が一番
厚ければ、やや薄いもの、薄いものに分けられます。3つに分けるところが肝です。
すると・・・目のまえには3つの紙の山が出来上がります。この3つの山をさら
にそれぞれの山ごとに3種類の「厚さ」に分けていきます。
100枚の紙→厚い山 ⇒3つに分ける⇒さらに3つに分ける→さらに3つ
(33枚) (11枚) (3枚か4枚の山) (1枚の山)
中間の山 → → →
(33枚) (11枚) 3枚か4枚の山) (1枚の山)
薄い山 → → →
(33枚) 11枚) (3枚か4枚の山) (1枚の山)
このように一度に100枚は無理でも、細かく分類することで綺麗に薄いものから
順番に並び替えることが出来るのです。これが先人達の知恵です。