第7回
叩解
「延喜式」の工程対照して煮熟は「煮」、漂白・塵取りは「択」にあたり、この後に「截」「舂」があるが、現在はこの二つをあわせて叩解といっている。
「截」というのは塵取りした白皮を切断する工程で、中国には今も残っているが、日本ではコウゾ繊維の長さを生かす技法が発展したため省略された。
叩解は集合した形の繊維束を、個々の背に似分解させ(離解)、さらに分離した繊維を適当な長さに切断したり、適当な幅に破裂させる作業である。
昔はすべて手打ちで、多くは分厚い板(たたき板)あるいは平たい石台の上に置いた原料を樫などたたき棒で、繰り返し打ちたたく。叩き棒は約1メートルの長 く太いもの(大棒)と約50~60センチの小さく細いもの(小棒)があり、それぞれを単独に用いるところのほか、大棒を荒打ち、小棒を細打ちとして併用す るところもある。
叉美濃・飛騨・越中などでは、石盤の上で菊花状の溝を刻んだ木槌でたたく慣わしが残っている。
木槌を2本持って叩くのは重労働であるが、紙料のこなれが良いので、良い紙を漉くための伝統技法として守られている。
時間を掛けて平均して叩きこなす単純な作業の繰り返してあるが、これに費やす労力は非常に大きいので、西欧や中国では水車動力の連碓機やビーターなどを導入するところが増えているが、高級紙の伝統にプライドを持つ紙郷では手打ちを続けている。