修復家という職業としての確立

従来の日本の博物館の在り方からして、文化財の保存を学芸員は途中でいろいろなかたちに姿を変えながらここまで来ましたが、それにともなって、研究員が担うべき職務内容も変化しています。戦後直ぐの博物館では、学芸員の保存修復の事を考える事を業務として行うと、明確に書かれていました。それで最近、保存修復の専門家が入ってきたわけです。その一番大きな理由は、公開がこれまで以上に促進される時代になったことでしょう。文化財を公開することと同時に文化財に附属する様々な情報もきちんと整理して、正確に外へ発信しなければならない時代になりました。正確を期し、安全性をより高めるという意味からも。独立し、専門化した保存の担当者が必要になります。

残念ながら、これまでの日本の社会の菜か出罪挙げられなかったため、博物館に保存修復という職業がなく、博物館における一般的な職業として成立してはおりません。お巡りさんといえば何をする人かわかりますし、看護師さんといえば何をする職業なのかわかります。しかし、今、一般の市民に博物館の保存修復とは何をする職業なのかという事はまだ十分に理解されているとは思われません。早く職務の一つとして確立していかねければなりません。職種ができてもふさわしい人がいなければ仕方がないので、人材の養成も不可欠のことです。どちらが先かわかりませんが、今はどちらにも課題があるという状況です。

参考文献  文化財の保存と修復より

 

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