東京国立博物館の取り組み「臨床保存」

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臨床保存活動は、大きく分けて「環境保存」「修理保存」があります。主軸となる活動は、もちろん「環境保存」です。文化財を取り巻く環境を整え、文化財が傷んでいく速度を遅らせ、現状を維持する事、いわゆ予防保存です。そして、どうしても必要とする場合のみ、「修理保存」を施すわけです。これを確実に実行していく活動を「臨床保存」呼んでいます。

臨床保存は永遠のテーマを実際に両立させていこうという実践的な活動です。「環境保存」の活動にも数多くの枝分かれがあるのですが、今回は「修理保存」を中心にご説明いたします。

大掛かりな修理、これを当館では「本格修理」と呼んでいます。もう一つは比較的規模の小さい、いわゆる応急処置で、「対症修理」と呼んでいます。更に、対症修理には文字通り、損傷部分のみ働きかけて処置を行うものと、将来的な損傷を予測し、それを予防するための処置があります。

また、展示のための調整もこの対象修理に入ります。当館で行なっている修理保存の多くが、特に対症修理に関しては、予防的要素を含む作業であり、予防保存を支えている活動のひとつとして捉えられています。したがって、実際にはこの作業は環境保存から枝分かれしてくるものと考えることができるでしょう。

参考文献 文化財の保存と修復より

 

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